レベル3 ★★★★★

「ライアーズ・ポーカー」、「マネー・ボール」と、ノンフィクションの分野で立て続けに世界的ベストセラーを飛ばした著者の最新作。前2作も非常に優れた出来ですが、本書は米国の不動産バブルが世界的な金融バブルとして膨れ上がり、サブプライム危機が発生し、リーマンショックが起き、世界が不況に突入するという一連の流れの内幕を見事に解説した歴史的な名著です。

これを読めば、米国政府やゴールドマン・サックスやドイツ銀行という巨大投資銀行が、骨の髄まで腐敗していて、彼らが得となるバブル状態を意図的に作り出し、個人顧客はもちろん、法人の取引先までだませるものは全てだまして、徹底的に儲けようとしてきたことが良く分かります。

そして、最後はバブルの火の手に米国政府や巨大投資銀行まで飲み込まれていくのですが、この狂った構図を読み切り、サブプライムローンを元にしたCDOや、金融機関の株式を空売りすることで、金融危機の大暴落で巨額のリターンを得た人たちが主人公です。

世の中のほとんどを敵に回して、何年も耐えることで、自分達の考えが正しいと証明した主人公たちの知力、胆力は驚嘆すべきものです。一方、バブルを作りだした政府や巨大投資銀行のトップ達は、税金により救済され、バブルにより得た巨額の報酬も返還していません。

ボルカールールを始め、現在検討されている新しい金融規制により、間違いを犯した者はその責めを受け、正しい者のみ大きな報酬を得る、健全なマーケットメカニズムが少しでも回復することを願います。