レベル1 ★★★

本書は、人類がどのようにお金と向き合ってきたのかを、数百年に渡る歴史をさかのぼりながら解き明かしていきます。

この本を読むと、「歴史は繰り返す」ことが良く分かります。18世紀に起きた、欧州からのアメリカや当時の新興国への投資バブルとその崩壊。19世紀のロスチャイルド家のワーテルローの戦いにおける大損と巻き返し。

本書で紹介されているエピソードは全て、2008年の金融危機や2002~07年のバブル、そしてバブル崩壊においても巨額のリターンを上げたヘッジファンドマネージャー達を彷彿とさせるものです。つまり、人間そのものはほとんど変わらないということが良く分かります。

ただ、本書を読むとそうした無常観だけではなく、失敗を繰り返しながらも、金融システムは徐々に発展を遂げてきたことも良く分かります。「愚者は自らの経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の言葉通り、過去の金融史を丹念に学べば、今の金融システムの前提が理解でき、金融システムを悪用して被害を拡大するような愚かな行動を、ある程度は回避できるということです。

実際に、金融史が専門の著者は、バブルが最盛期の2007年に金融危機が起きる可能性を指摘していました。

ただ、残念ながら人間が作るものは完全になることは永遠にありません。これからも、いくら歴史に学ぼうとも、誰も想像もしない危機が必ず訪れます。その時に、金融というものは、バブルと崩壊を繰り返しているだけだと諦めるのではなく、何がいけなかったのかを反省し、少しでも改善していくという姿勢が、結果的に将来の発展につながる。そうした苦難に満ちた、でも人類の発展に必須である、金融の発展の経緯が、本書で良く理解できました。