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世界で最もプレゼンで人を感動させる男、プレゼンをエンターテイメントの域にまで高めた男と呼ばれる、アップル創業者スティーブ・ジョブズのプレゼンノウハウをまとめた本です。こうした、キャッチーなタイトルの本にありがちな、看板倒れのコンテンツではなく、ポイントが良くまとめられています。

起業してから、セミナーで話すことが飛躍的に増えました。多くの人数の、それも多様な人の前で話す時は、やはり気をつかいます。幸い、多くのセミナーで高い評価を頂いているのですが、その理由としては、話すこと自体を私自身が楽しんでいることが一番ではないかと感じていました。そして、本書を読み、ジョブズもその点を大切にしていることを知り、嬉しく思いました。

テレビ会見などでの、官庁や東京電力のコミュニケーション力の無さが糾弾されています。専門用語に満ち、小声でぼそぼそと、メモを棒読みし、資料も目に見えないほど小さいという、あり得ないほど低レベルな光景を良く目にします。日本人はプレゼンが下手だとよく言われます。それは、日本人の生真面目さが災いしているような気がしてなりません。

本来、コミュニケーションを取ることは楽しいことのはずです。もちろん、事故後の会見などは楽しませることが目的ではないですが、少なくとも情報を得たいと切に願っている人の気持ちを考えれば、プロとしてもう少し違ったアクションが出てくるはずです。今の世の中は、知識はネット検索でいくらでも出てきます。しかし、それを分かりやすく説明し、納得させることは人にしかできない作業です。

これから成長していく知識集約型産業では、優秀なコミュニケーションの担い手がいるかどうかで、成果が100倍以上変わってきます。社会人はもちろん、学生の頃から、ジョブズのような優れたコミュニケーターのスキルに触れることが非常に大切になってきているのではないでしょうか。