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現在、世界で最も注目されている企業フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグが、2004年にフェイスブックを起業してからの歩みを、克明に描いたノンフィクションです。映画「ソーシャル・ネットワーク」がザッカーバーグの敵対勢力からの視点を主としていたのに対し、本書は著者がザッカーバーグに密着取材した内容をベースとしているので、両方を見比べるとフェイスブックの発展の歴史やザッカーバーグの人となりが多面的に理解できると思います。

まず、本書を読んで感じるのが、弱冠26歳であるザッカーバーグが、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、そしてグーグルの創業者サージェイ・ブリンとラリー・ペイジの系譜に連なるIT業界の革命児であり、人類全体にインパクトを与える仕事をするである比類なき天才であることです。

インターネットを、実名によるオープンなコミュニティにしたいという、壮大なビジョンの元、数々の巨額買収の誘惑を断ち切り、6億人を超えるコミュニティを作り上げた彼のビジョン、実行力には脱帽するしかありません。

フェイスブックの革命はネットのみならず、世界全体の社会のあり方も変えていっています。フェイスブックにより、個人の活動が克明に記録され、それが世界中の人々にシェアされることで、今まで分断されていた実社会とネットのアイデンティティが統合され、個人が多面的に評価されるようになっているのです。いくら履歴書に美辞麗句を書き連ねても、それを裏付ける人脈や評価がフェイスブック上になければ、簡単に嘘が露呈するという社会です。

マイクロスフトからグーグル、そしてフェイスブックと覇権が次々と移っていくIT業界ではそうしたフェアな競争原理が働いています。そして、そのフェイスブックでさえもツイッターを始め、新興企業の攻勢にさらされ、矢継ぎ早に新機軸を打ち出していく必要に迫られていきます。

未だに、匿名での非建設的な情報発信が中心である日本のネット事情を鑑みた時に、日本人の多くはフェイスブックが作り上げつつある、フェアだけれどもシビアな、個人単位での比較カルチャーに備えができていないのではと、不安にも感じました。