レベル3 ★★★

大震災後に雑誌などで多く特集が組まれた、国債暴落や円高にフォーカスをした資産運用の本だと思って購入しましたが、いい意味で騙された本です。投資の初心者のみならず、投資の上級者の方でも満足できる内容となっています

著者は、興銀からスタンフォード大学にMBA留学し、数々の投資銀行でマネージングダイレクターを務めたという素晴らしい経歴の持ち主です。スタンフォード大学に留学時には、ノーベル経済学賞受賞のウィリアム・シャープ教授から学んだとありますが、シャープ教授の専門分野である、現代ポートフォリオ理論やCAPM、ベータなどのアカデミックな話はほとんど出てきません。出てくる数字や分析は、証券会社で実際に行っているような具体的かつインパクトがあるものが多いです。

サブタイトルである「逆境下の資産運用術」というのが、震災後のマネー術という意味合いよりも、構造的問題を抱える、逆境下の日本における正しい資産運用術というもっと普遍的な意味があるように感じました。日本人がやってしまいがちな投資における問題行動から、ポールソン、バフェット、ソロスなど、著名ヘッジファンマネージャーの金相場の見立てまで、幅広いテーマを扱っています。ETFなどの商品を使って、個人でも投資のプロと同じ投資方法が出来る時代になった今、自分の頭で考え、自分の資産を守るため幅広い情報収集が必要です。

私たちがセミナーでおすすめしているインデックス運用でなく、毎年の信託報酬もかからず、購入手数料も安い海外個別株投資を著者は勧めています。アップル、ヒュンダイ、キャタピラーなどの個別株の分析は、目の付け所がさすがプロと興味深かったです。

「インデックス運用に偏りすぎると無関心がはびこって、資産はメルトダウンする。日本に賢い投資家が増えてほしい」という著書の熱い思いが詰まった本に仕上がっています。