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ノーベル経済学賞を受賞したジョージ・アカロフと、イェール大学の経済学部教授ロバート・シラーという気鋭の経済学者による、主流マクロ経済学の限界について解説した書物です。

題名にあるように、マクロ経済学の主流派が想定している合理的な判断ではなく、人はアニマルスピリッツに従って行動する局面が多々あり、このことにより経済学が想定していない事象が発生するというのが彼らの主張です。株価や住宅の値動きの激しさや、黒人の貧困層が継続的に多くなっている理由の背景には、全てこのアニマルスピリッツがあるという説明が展開されています。

そして、このアニマルスピリッツの典型として、インフレを正しく認識でない貨幣についての錯覚や、公平さについてのこだわり、物語を過剰に重視する思考パターンなどがあることも説明されています。

私のようなビジネスをやっている人間からするとこうした指摘は当然のようにも聞こえるのですが、経済学の主流派がこうしたアニマルスピリッツを無視して、理論的には美しくとも、実態とはかけ離れた理論体系を打ち立てている事には危うさを覚えます。

こうした経済学の限界を如実に表わしたサブプライム危機をきっかけに、著者たちは経済学にアニマルスピリッツの側面を織り込まなければならないと強く主張しています。著者たちの声かけが大きな流れとなって、より実践にたえうる経済学が発展することを期待したいと思います。