レベル3 ★★★★

運用総額が世界最大規模のオータナティブ・ファンド (ヘッジファンド・PEファンドなど)であるブラックストーンの創業期から今日までを非常に詳細に解説しています。

私も以前に働いていたPEファンドは、日本では「ハゲタカ」の名で有名になったように、いきなり会社に株主として乗り込んできて、リストラなどを行い、濡れ手で粟のビジネスだというイメージが根強くのこっています。

米国でも物議を醸すことがあるPEファンドですが、本書ではブラックストーンが手掛けてきたさまざまな投資案件を長期的に分析することで、彼らのビジネスが世の中のイメージとは異なり、企業が成長し雇用を増やすことにつながっていることを明らかにしています。

リーマンショック後に、日本でのPEファンドビジネスは苦戦を強いられていますが、本家の米国ではブラックストーンなど最大手のファンドは規模を拡大しています。業界で働いていた人間として彼我の差はどこから来るのかという視点からも非常に興味深かったのですが、私が感じた1番大きなポイントはビジネスの多様性です。

ブラックストーンは、初期はPEファンド専業としてスタートしたのですが、債券投資専門の部隊を立ち上げ、その部隊は今では独立し、ブラックロックという世界最大の金融機関にまで成長しています。

他にも、不動産投資や複数のヘッジファンドを選定して運用するファンド・オブ・ファンズなど、様々な事業を展開しています。冒頭でブラックストーンをPEファンドではなく、オータナティブ・ファンドと呼んだのは、この事業分野の広さからです。

もちろん、彼らも今日の成功までには様々な失敗を経験してきています。ただ、その失敗から学び、PEファンドが経営再生能力を過大視しがちでそれが失敗案件につながること、市況の底で割安に投資をすることが成功への最大の近道であることなど類型パターンを見つけ出し、それを忠実に実践した事が最大最強のファンドにまで成長した礎となりました。

オータナティブ・ファンドビジネスは、今後も新興国への進出などさらなる成長を遂げていくでしょう。また、共和党の有力な大統領候補者であるミット・ロムニーも、大手PEファンド、ベインキャピタルの創業者です。

グローバル社会における経済面はもちろん、政治面においても影響力を高めていくであること必須のオータナティブ・ファンドについて詳しく知りたい人はぜひ読んでみてください。