レベル3 ★★★

黒い白鳥(ブラック・スワン)が発見されるまで、誰もがスワンは白いものだと信じていたように、金融市場においても誰もが想像しないとんでもないことが起きる。本書はサブプライム危機を予言した書物として、世界中で大ブームを巻き起こしました。

金融工学の大前提、正規分布が金融市場に当てはまらないというのが著者の一貫した指摘です。金融工学と著者の指摘のどちらが正しいか、ノーベル経済学賞を受賞し、かつ金融工学が隆盛するきっかけ、ブラック・ショールズ方程式を考案したマイロン・ショールズと本書の著者が運用しているファンドのパフォーマンスを比較してみましょう。

ショールズのファンドは、最初のLTCMがロシア危機により破たんし、その後に設立した2つ目のファンドも2008年のリーマンショック時に40%近くのロスを出し解散してしまいました。

一方、著者が関与したファンドは、金融工学では予測不能な大暴落が必ず起きるという見立てにより、超優良株のアウトオブザマネーのプットオプションを安価で大量に仕込み、暴落した時にその価値が何十倍にも跳ね上がることで、ITバブル崩壊や金融危機などの暴落相場のたびに巨額のリターンをあげています。

ノーベル賞を取っていようと結果で裁かれる金融市場は、非常に公平であるとともに厳しい世界であると本書を読んで再認識しました。