★★★

今や、時価総額は20兆円を越え、世界有数の巨大企業になったグーグルの歩みを克明に追ったノンフィクション。米国のビジネスメディアの実力の高さをまざまざと感じられる良作です。

まだ、スタンフォード大学の博士課程の学生であったグーグルの創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが、いかにしてグーグルの検索アルゴリズムを作り上げたのかという創業前夜のエピソードから、検索連動型の広告、広告単価の決定方法といったグーグルの収益基盤の中核となるビジネスモデルまで詳細に解説されています。

グーグルの創業者のアルゴリズムへの信奉ぶりと、サイエンティスト・エンジニアにとって夢のような空間である社内の様子もリアルに描かれているので、グーグルがいかに普通の企業とは全く異なったユニークな会社であるのかが良く分かります。その技術ドリブンの会社であるグーグルが、上場など経て、投資家や金融機関からの要求と何とか折り合いをつけながら、今の世界的な企業になったという過程は、投資家にとっても興味深いでしょう。

あくまで提供するサービスのスピードを追求する姿勢と同時に、そのサービスをできる限りコストを安く提供するという創業者2人の情熱が、今までのグーグルの急成長を生んだことが良く分かります。また、20歳近く年上のエリック・シュミットをビジネス面の強化のために外部から招へいし、若い創業者2人と経験豊富なビジネスマンというトロイカ体制がよく機能したことも、企業経営の点で示唆に富む内容です。

後半になると、あまりに巨大になりすぎた故に個人情報の取り扱いなどで不信の目をむけられる、中国政府との軋轢や中国市場からの撤退、フェイスブックの攻勢に後手にまわる姿など、マイナスの記述も増えてきます

検索の分野では世界を圧倒したグーグルですが、ハードウェアやSNSなど新しい分野に進出する将来にどのような成長を遂げるのかを占う上でも本書は貴重な資料です。個人的には、グーグルグラスなどスタイリッシュかつ技術ドリブンのクールな製品が今後も出てくる限り、今のペースで成長し続けると考えていましたが、本書を読んでこの見通しにより自信を持つことができました。