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元ゴールドマンサックスのバイスプレジデントであった著者が退職直後に「私がゴールドマン・サックスを去る理由(Why I Am Leaving Goldman Sachs)」というインタビュー記事をニューヨーク・タイムズ紙に発表して、一時話題となったのをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

ゴールドマンの不正取引の暴露本かと思って読み始めましたが、意外にも、著者が金融という仕事やゴールドマンサックスの組織を愛している様子が伝わってきて、読みごたえもあり面白かったです。特に良かったのは、世界最高の投資銀行と言われているゴールドマンサックスで働く、個性豊かで魅力的な彼の同僚や上司の描写です。能力のある若手を育てる上司やメンターの存在、チームワークをもってチームの利益に貢献することを良しとする組織、それを役職や給与という形で認めてくれる環境は、さすがゴールドマンサックスだと思いました。

本書の後半では、顧客よりも会社の利益を優先していく姿に著者が落胆をしていく様子が描かれています。特に著者がロンドン勤務になってから体験した腐敗した組織の考え方やチームワークよりも分け前をより多く得ようとするために同僚を蹴落とそうとする様子には、残念な感じがしました。会社を辞めてから暴露本を出すという行為には、色々な意見があるかと思いますが、今の金融業界を内情がよく分かる本として、金融業界に興味がある方は読んでおいて損はないと思います。