★★★★

DeNAを創業し、わずか10年強で日本を代表するIT企業に育て上げた南波さんの初めての著作です。著者は、私にとってマッキンゼーのコンサルタント、起業家としての大先輩ですが、接点は講演会で何度か話を聞いただけに留まります。

本書を読んで、彼女がDeNAの成長とともに雰囲気も含めて大きく変わったと感じたのは、接点の少なさからくる勘違いかもしれません。話を聞いた時には、とても明るく闊達な方で、ぐいぐいと周囲を引っ張るエネルギーに満ちた人だと感じました。

それが、本書のほとんどが周囲の人へのてらいのない感謝の言葉からなるのを読んで、周囲の力を全て引き出しながら重要な局面のみきちんとジャッジメントをする懐の深い経営者であると感じました。

女性のIT起業家であるだけでも日本では非常に珍しいですが、創業した会社を東証一部上場に導き、グローバル展開も積極的に行っており、会社の勢いが最高潮の時に、配偶者の病気により社長を退任するという彼女の物語は稀有のモノです。

でも、そのカラフルなドラマが彼女の素朴な文章で、すっと心に入ってきました。私にとって本書は起業してから読んだ経営者による本の中で、屈指の影響があるモノとなりました。起業家としてはまだ足元にも及びませんが、彼女のような姿勢を徐々にでも身につけていきたいと思います。

女性の社会進出が声高に日本でも叫ばれていますが、南波さんのような自然体で起業やビジネスで成功されることがでてくることが、社会がジェンダーフリーの点で成熟していく一番近道であるとも感じました。