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レコード店の経営から始まり、総合小売店や航空会社、最近では銀行や宇宙旅行まで、業種の壁を越えて成長するヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソンの人生哲学が、短いコラムの連続で歯切れよく展開されています。

著者の名はその破天荒な行動で広く世界に知られていますが、英国以外の人はあまりヴァージン・グループについてよく知らないのではないでしょうか。私自身、個人的に関心がある宇宙旅行の企画会社をブランソンが創業したことで関心を持つようになりましたが、ヴァージンの多岐にわたるサービスを利用したことはありません。

その理由は、ブランソンが市場を支配するような立場を目指さず、主要業者が模倣することが難しい、ニッチなニーズをとらえた機動的なサービス展開を、どの業種でも心がけているからでしょう。ブランソンはこれまで成功したもの、失敗したものを含めて何十という業種で様々なビジネスを仕掛けていますが、常にその動機は自分が手がけたいもの、ビジネスをしていて楽しいものだけに絞っています。

起業家の多くは1つの会社を成功させると、豊富な経営体力を元に類似した業種のみに事業を拡大していく人や、もしくは自分が起業した会社をエグジットさせて得た資金を元にエンジェル投資家に転身する人がほとんどですが、ブランソンは常に自分が関心を持った分野で勝負を仕掛ける起業家であり続けています。

彼の人生の指針が一つにつき3~4ページで分かりやすく、豊富な事例と共に紹介されていますから、忙しい起業家やビジネスマンが少しずつ読むのに適しています。少し心が疲れた時に読むと、ブランソンの底なしのエネルギーと明るさが背中を押してくれるでしょう。