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週刊漫画誌「ビッグコミックスピリッツ」で30年以上にわたる長期連載「気まぐれコンセプト」で有名なクリエイター集団「ホイチョイ・プロダクションズ」の創設者が、日本にディズニーランドを誘致する経緯を細かなエピソード満載で解説しています。

本書の主要な登場人物は小谷正一氏と堀貞一郎氏、そしてウォルト・ディズニーです。ウォルト・ディズニーは万人が知っていますが、小谷氏と堀氏を知っている人は限られているでしょう。これは、両名ともプロデューサーたるもの裏方に徹するべきという信念があったからです。

しかし両名がいなければ、毎年3,000万人以上が訪れる巨大テーマパーク「東京ディズニーリゾート」は実現しなかったことが分かるでしょう。大正生まれで戦後の元気を失った日本を元気づけるために、大阪万博を含む数々の巨大イベントを手掛けた小谷。その薫陶を受けて、ディズニーランドを東京に誘致する陣頭に立った堀。

2人と身近に接していた著者の馬場氏でなければ書けない豊富なエピソードから、この両名が多くの人を喜ばせたいという純粋な思いにつき動かされて、不可能だと思われるプロジェクトの数々を成し遂げたことがよく分かります。

そして両名のスタイルが、ウォルト・ディズニーが大切にしていたものと同じであったことから、海外の諸都市を押しのけて東京が世界で最初のディズニーランドの設立地として選ばれたというストーリーがすんなりと入ってきます。

いつの時代も、大きなことを成し遂げるのは純粋で熱い思いに突き動かされた一握りの人間達であることに、会社を経営していくモチベーションが高まりました。前向きな思いを持ちたいビジネスマンにぜひ読んでほしい爽やかな快作です。