★★★

日本語版でも副題に「超格差の時代」とありますが、英語の原題は”Plutocrat (財閥、金権政治家)”と少しネガティブな表現が使われています。

本書はまず前半で、様々な定量的なデータから米国を中心として世界中で格差が拡大し、上位1%(特に上位1%のさらに上位1%)に、富や権力が集中してきており、その水準は歴史上に類を見ないレベルに達していることが描かれています。そして、後半ではそうした集中のメリット・デメリットがどのようなものか議論が進んでいきます。

日本でこのテーマを扱われるときは、そのほとんどがとてもネガティブなものとなっていますが、本書では、新興国で多くの人が貧困から抜け出し、世界のどこでも大きな成功を収めることが可能になっているなど、グローバル化・富の集中のプラスの面も書かれています。また、世界のトップに人気が集中するスーパースター現象など、格差が拡大する構造的要因についても言及されています。

ただ、このようなメリットを踏まえても、あまりに格差が拡大しすぎ、富の一極集中は社会の不安定化もまねく可能性があるという論旨が展開されています。ヒト・モノ・カネが国境を越えて自由に動く時代に、どの程度の再分配が妥当で、どのように再分配を行うのか考えさせられます。