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副題に「どちらが世界を支配するのか」という非常に刺激的なタイトルがついていますが、中身は丹念な取材に基づいた良質なノンフィクションです。

世界最大の時価総額を誇るアップルと、そのアップルのiPhone/iPadの牙城に対して、オープンOS「アンドロイド」により攻め込んでいるグーグルという、スマートモバイル端末の雄2社の動向について詳細にまとめられています。

約20億台と全ての電化製品の中で桁違いの出荷数を誇る携帯電話は、グローバルでそのほとんどがスマートフォンに置き換えられつつありますが、両社はこの市場で激しく競合しています。そして、今やPCをしのぐ出荷台数となったタブレット端末においても、iPadの圧倒的な優位が徐々にグーグルにより崩されつつあります。

スティーブ・ジョブズがiPhone/iPadをどのように生み出したのかは、その歴史的なプレゼンを含めて多くの人々に認知されていますが、今やiPhoneを押しのけて全スマートフォンの80%を占めるまでになったグーグルのスマートフォンOS「アンドロイド」の開発の経緯はあまり知られていません。本書では、アンドロイドの父であるアンディ・ルービンを中心として多くのグーグル社員へのインタビューにより、検索エンジンが主力であったグーグルがいかにスマートフォン市場に事業を拡大してきたのかを明らかにしています。グーグルの敵方として描かれるスティーブ・ジョブズの強烈さも含めて、世界で最も規模が大きく、収益性が高いスマートフォン市場で両社がどのような思惑を持って戦ってきたのか、迫力あるビジネスストーリーに興奮させられます。

本書はまだiPadが優位性を保ちながらも、スマートフォン市場ではiPhoneの牙城が崩れつつあるという場面で終わりますが、その後は上記のようにアンドロイドOS端末がスマートフォン市場を席巻し、タブレットにおいてもアンドロイドOSの存在感は高まるばかりです。

さらには、そのアンドロイドOSの父であるアンディ・ルービンはロボット開発という新たな市場に転じています。IT業界、特にスマートモバイル市場の変化の速さには驚くばかりですが、その黎明期から成熟期までの流れを俯瞰するには格好の書籍です。