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最近、ネクスト・ジョブズは誰だという記事がよく書かれます。先週に紹介したジェフ・ベゾスもその候補ですが、最もネクスト・ジョブズとして取り上げられることが多いのは、本日ご紹介する本の主人公イーロン・マスクです。日本での知名度はベゾスに劣りますが、起業家としてのスケール感はベゾスに勝るとも劣りません。

イーロン・マスクは、南アフリカ出身で17歳の時に親戚のつてを頼ってカナダに移住し、その後米国の大学に通います。スタンフォード大学の物理学の博士課程に進学しますが、2日で退学し、兄弟とオンラインコンテンツの編集ソフトの会社を起業します。

この会社をコンパックに売却して資産を築いたマスクは、この資金を元にオンライン決済の会社を創業します。この会社は後に別会社と統合してペイパルとなり、オンラインオークションの世界最大手eBayに売却することで、マスクは大富豪となります。

起業家は大富豪となった後に、エンジェルとして後進のサポートに回る人が多いですが、マスクは以前から温めていた壮大なテーマの起業をします。1つが米国の高級車マーケットを席巻しつつある電気自動車メーカー「テスラ・モーター」で、もう1つは民間企業として初めて国際宇宙ステーションに資材を運ぶことに成功した「スペースX」です。

学生時代から、マスクは人類の永続性を高めるためにインターネット・再生可能エネルギー・宇宙の3つの分野で起業することを目標としていましたが、40歳そこそこで既に達成しました。このままいくと、21世紀で最大のインパクトを残す起業家になりそうなマスクですが、最近でも火星移住計画や音速を越える高効率な移動システムなど、とてつもない計画を続々と発表しています。

この刺激的な人物についてあまり知らない人にとっては、マスクのこれまでの歩みコンパクトにまとめられていて、クイックに読めるので本書はオススメです。ただ、本書は本人や周囲の人へのインタビューを行っておらず、これまでマスクについて書かれた記事をまとめているだけなので、既にマスクについて良く知っている人にとっては物足りない内容です。

いずれ、本人に肉薄した骨太な伝記が出版されることを期待したいと思います。