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日本初のネット生命保険会社の会長を務める出口治明氏による世界史の入門書です。私は過去に彼の講演会に1度参加したことがあるのですが、教養あふれる内容と若者への優しいまなざしが印象的で本書を手に取りました。

タイトルに仕事に効くとありますが、大人として身につけておきたいリベラルアーツとしての歴史の流れがまとめられています。日本の学校であまり扱われない、中央アジアから中東、インドにかけての歴史や、日本の歴史上のイベントと世界史との関係性についてのトピックが、特に興味深かったです。

海外で仕事をしていて感じるのはその国の文化や成り立ちへの理解の大切さです。本書にも、シンガポールが大英帝国にとってどのような位置づけだったのか、アヘン戦争との関係で出てきますが、地政学上の要衝であることの優位性は時代に関係ないと再認識しました。

アジアが経済的に盛り返している21世紀だからこそ、欧米からの視点だけでなく多様な歴史的ストーリーを理解しておくことは、今後の世界経済の動向を占ううえでも非常に大切です。本書を著者が書いた理由として、負け戦を笑って受け止められる骨太の知性を持った若者がでてきてほしいからと書かれていますが、本書の内容はまさにその通りの、深い知識に裏付けられた重厚な歴史ストーリーが展開されています。