レベル3 ★★★★

世の中にはバフェットを題名に使った本がかなりの数にのぼり、当然ながらその内容はピンキリです。私も10冊以上のいわゆるバフェット本を読んできましたが、本書はその中でも屈指の出来ばえです。

毎年1回、ウォーレン・バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイの株主総会に向けて、彼自身が執筆する「株主への手紙」は大きな注目を集めますが、本書はその「株主への手紙」の編集者が執筆しています。ただ、執筆といっても著者が編集者を務めているフォーチュン誌に掲載されたバフェット関連の記事をトピックごとにまとめて、それに解説を加えるという形をとっています。

こう書くと、雑誌記事をまとめたものかと思われる方も居るでしょうが、フォーチュン誌が誇る練達の執筆陣による長編記事ばかりですし、50年近く前の記事から掲載されているので、各時代におけるバフェットの考えや周囲からの評価が時系列で追えるので非常に読み応えがあります。個人的には、ソロモン・ブラザーズの不祥事とバフェットが会長を務めて危機を脱する下りと、直近の篤志家としてのバフェットの活躍ぶりについての記述が興味深かったです。

いかなる人物も長期にわたってアクティブ運用で市場平均を上回ることができないという効率的市場仮説の反例としてバフェットが取り上げられた30年ほど前の記事も登場しますが、その後の彼の実績を見ても効率的市場仮説を擁護しようと思う人はほとんどいないでしょう。

本書を読んであらためて、「周りが悲観的な時に大胆になって、周りが楽観的な時に慎重になる」という投資の王道を長期にわたって継続することがいかに難しく、そして達成できれば途轍もない偉業につながるのかということを認識しました。凡事徹底こそ非凡への道ということですね。