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タイトルを見ると、よくあるグーグル本に見えます。グーグルやアップル、マッキンゼーなど世の中でビジョナリーとされる企業の働き方についてOBが解説する本は世の中に数多く出版されていますが、本書がその中で際立つのは執筆陣です。若い創業者2人のお目付け役として、長くグーグルのCEOを務めたエリック・シュミットをはじめ、どのようにグーグルという組織を活性化してきたのか、デザインした経営幹部たち自らが解説しています。

以前はマイクロソフト、最近ではアップルやフェイスブックがグーグルのライバルとしてよくあげられますが、こうしたエクセレントカンパニーであるライバルたちと比較しても、その創造性は一段高く評価できるでしょう。本業である検索事業と連動広告だけでなく、スマホのOSやマップサービス、メーラー、ブラウザなどでグローバルトップシェアとなり、まだ収益化はされていませんが車の自動運転や宇宙開発、ロボット、人工知能、バイオテクノロジーなど、21世紀のフロンティアと考えられる分野の多くで最先端を行っています。

興味深いのは、上記にあげた事業の多くが、トップダウンではなく社員の自発的な活動から生まれていることです。グーグルの働き方としては20%の時間を自分が決めたミッションに使えるルールが有名ですが、検索連動広告の改良やG-mailの開発などが、この20%ルールにより実現しました。

本書では自発的に創造的な仕事をする人材を「スマートクリエイティブ」と名付け、スマートクリエイティブたちがどうすれば気持ちよく働けるのか、グーグルのトップマネジメントが常に心を砕いていることが紹介されています。

20%ルールも、スマートクリエイティブ向けの施策の1つですが、本書で紹介される事例の多くが20世紀の企業経営では否定されてきた、もしくは考えもつかなかったようなモノばかりです。グーグルという世界屈指の人材を誇る企業だからこそ成功したと感じる人も多いでしょう。しかし、技術の革新によって変化が加速している現代において、ビジネスで成功するにはグーグルの働き方をまずは意識しておくだけでも価値があるでしょう。私たちも時間がかかりそうですが、本書で紹介されているような、そしていずれはさらに上回るような創造性を刺激する環境を自社に広めていきたいと考えています。