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ソフトバンクの孫社長についての書籍は数多ありますが、本書は近年孫社長に密着している日経新聞社の記者による書籍で、孫社長以外のソフトバンクの経営陣や直近のビジネスシーンについての解説が充実しているところに特徴があります。

孫社長についてはその出自と、圧倒的な成長の軌跡が物語としても一流であるため、伝記的な著作は数多くありましたが、本書は純粋に経営者としてのビジョンと、そのビジョンの実現をサポートする孫社長以外の経営陣について焦点が当たっており、経営に携わる人にはより参考になる内容でしょう。

東南アジアやインドを中心としたベンチャー投資や、苦戦が伝えられるスプリント買収による米国進出、再生可能エネルギーへの取り組みなど、最新のソフトバンクの経営を取り巻くトピックについて、最新の孫社長の声が伝わってきて、今後の展望について色々な手掛かりが得られます。

巻末の孫社長を取り巻く人物相関図もよくまとまっていて、本書を読むとやはり日本企業の経営者で本気でグローバルトップになろうとしているのは、孫社長しかいないという思いを新たにしました。最近大きなニュースとなった、グーグルから年収165億円で引き抜いたニケシュ・アローラが、なぜ後継者に指名されたのか、そして他の日本人の経営幹部に今後の役割についての、著者の予測もあります。

ソフトバンクのロボットや人工知能への取り組みなど、これまであまり書籍で取り上げられなかった、長期的なテクノロジーに対する孫社長のビジョンも紹介されています。事業会社ではなく投資会社であるとされることも多いソフトバンクですが、本書にある長期的なテクノロジーへの情熱が大きなビジネスとして結実するところまで持続するのか、ソフトバンクの今後の歩みへの関心も本書で大きくなりました。