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今アップルと並んで世界でも最も注目される企業グーグルの人事担当の責任者による本です。この書評でもグーグルに関する本は色々と紹介してきましたが、ほとんどはグーグルの技術力やビジネスモデルの革新性に関するもので、人事についての本は初めて取り上げます。

本書を読んで最も強く感じることは、グーグルでは人事についても定量分析を非常に重視していることです。徹底した定量分析により効率的なデザインを吟味して使いやすいプロダクトを作りこんでいくように、社員の評価制度や福利厚生の仕組み、報酬決定のメカニズムも、科学的な実験プロセスにより最適化されていることが分かります。

グーグルの社内にはこうした統計分析やそのための情報システムに長けたエンジニアや科学者がたくさんいるので、新たな人事制度や福利厚生の仕組みを導入するときは、必ずそれをパイロット的に導入するグループと従来のままのグループを分けて、その効果を測定しています。同じような科学的な分析は、社員のパフォーマンスの差についての分析にも適応され、その差を計測するだけでなく、差を生んでいる要因の特定と、さらには効率的な改善策にまで踏み込んでいます。

グーグルの人事制度というと、高い報酬や無料で提供される食事や送迎サービスなどに目が行きがちですが、爆発的なリターンを上げている会社が気まぐれに大盤振る舞いをしているのではなく、このように精緻な分析に基づいてこうした制度が設計されていることが分かります。

そして、社内で長い期間をかけて練り上げた知見を本書で惜しみなく伝えていることは、グーグルーの本業におけるオープンソースの姿勢と共通するもので、企業イメージをさらに向上させるでしょう。グーグルはIT業界のビジネスや科学技術だけでなく、組織設計においてもオープンイノベーションを実現させそうです。