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1990年代後半から2000年代初頭にかけてのITバブルにわく、渋谷を中心とした国内の起業家たちの様子がよくまとめられています。ジョホールで同じコンドに住む加藤さんに薦められて手に取りました。加藤さん自身も何度か本書に登場します。

当時から20年近くが経過していますが、本書に登場する中でも孫正義氏、南場智子氏、松本大氏、松山大河氏などは今でも同じポジションで活躍しています。ただ、裏を返すとこの20年でほとんどの起業家が一線を去ったことになります。

1990年前後のダイヤルQ2ブームで誕生した通信関連ベンチャーが、1995年のWindows95誕生とインターネット普及、2000年のiモード誕生により百花繚乱の様相を呈していくことが本書から分かります。私は2000年当時、大学生だったので起業家コミュニティのことをほとんど知らなかったので、この時代の雰囲気や起業家たちの関係性がよく分かりました。

本書が取り扱った時代の後も、2005年前後のライブドアを中心とした盛り上がりや、100億円以上の評価額の未上場企業が続々と誕生する現在など、定期的に起業の盛り上がりが日本で起きています。残念なのは語られている言葉が、「どうすればシリコンバレーのような起業が当たり前の世界を作れるか」、「米国とのベンチャー業界の差はどうしたら埋められるか」など、本書とほとんど変わらないことです。

本書の締めはiモードが爆発的に普及し始めたところで終わっています。日本初のグローバルITサービスが生まれるかもしれないという期待が語られていますが、結果的にサービスだけでなくソフト、ハードウェアまでアップルやグーグルに抑えられてしまった結果はあえて多くを語らなくともご存知でしょう。

今から10年後も、同じ言葉が繰り返し語られることのないように、再び盛り上がりを示している日本での起業ブームを本物の流れとしていかなくてはと感じました。