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NHKスペシャルの未来技術についての番組内容を再編集した書籍です。本書のあとがきにもありますが、これまでNHKで未来技術について特集するときは、そのデメリットや既存の社会構造への影響などネガティブな面が強調されるきらいがありました。

しかし、本書は概ね未来技術の可能性に焦点を当ててポジティブなトーンでとらえています。技術的な内容だけでなく、起業家や科学者、エンジニアたちがどのようにその技術を社会で活用していこうと考えているのかについても良くまとまっています。

IT技術があまねく社会に浸透してきたことで、IOTやAI、バイオテクノロジーといったテックワードが経済誌や一般のニュースでも頻繁に使われるようになりましたが、その技術的な内容や社会にどのような影響があるのか応用面まで正しく理解できている人はまだ少ないでしょう。

本書にはこうしたこれからの数十年における技術革新のカギとなるようなキーワードが50ほど紹介されていますから、本書をざっと読んで理解すればメディアで触れるテックワードについての理解は飛躍的に高まるでしょう。

本書を読んで感じたことは、今後の主要技術のほとんどで米国企業が圧倒的に先行していることです。本書が10~20年前にまとめられれば、もっと日本企業やそこで活躍する日本人の存在感は大きかったでしょう。米国経済の独り勝ち、そしてその米国でも基礎技術を含めて技術革新の中心が大学や研究所から企業にシフトしていることも印象に残りました。