★★★★

21世紀を迎えて最も重要かつ未解決の7つの数学の問題を、クレイ数学研究所はミレニアム問題として選びました。この内ポアンカレ予想だけはペレリマンにより証明されましたが、他の6つの問題は2016年時点で未だ証明も否定もされていません。

2,000年以上にわたる数学の歴史において、人類が解決できていない最も重要なこの6つの問題の中でも、最も重要なモノはどれか数学者にアンケートをとると、ほぼ全員が本書のテーマである素数と関係するリーマン予想と答えるでしょう。

本書では2,000年以上前に古代ギリシャ人が素数というモノを見つけてから、素数の分布について19世紀の天才数学者リーマンが残した予想に至るまで、人類が素数とどのように向き合ってきたのかが簡潔かつ時系列に沿って分かりやすくまとめられています。

現代数学はこのリーマン予想が正しいことを前提として、その上に数千の理論を打ち立てることで発展してきています。現代数学の根幹をなしているリーマン予想ですが、情報技術があまねく浸透している現代社会のインフラにも関係しています。それはオンラインでのコミュニケーションや決済に不可欠な暗号技術に、巨大な素数が用いられているからです。本書では数学理論としての素数だけではなく、社会において素数がどのように用いられているのかにも詳しく、IT技術への洞察も深められます。

金融の世界においても、数学の重要性は高まるばかりです。昨年半ば以降大荒れとなっている金融市場ですが、数学に長けた人材を集めたアルゴリズム取引のヘッジファンドの多くは安定したリターンを上げています。テクノロジーにおいても、金融においても重要性を増している数学の本質に触れられる良書です。