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タイトルを見ると最新の科学技術の話と思うかもしれませんが、本書は人類の歴史を通じて重要な発明を6つ選びだして、発明されるまでの経緯とその発明が社会にどのようなインパクトがあったのか、超長期の歴史に渡って解説されたスケールの大きい書籍です。

その6つの発明とは、「ガラス」、「冷たさ」、「音」、「清潔」、「時間」、「光」です。ガラス以外は全て、トピックに関連する複数のテクノロジーについて解説されています。例えば冷たさであれば、最初は氷を何とか保存して暖かい地域に持っていくことで冷却を実現していましたが、冷蔵庫やエアコンなど人工的な冷たさの発明とともに、どのように新しいテクノロジーに移行し社会にどのような影響を与えたのか、1つのトピックを軸に長い歴史がコンパクトにまとまっているので、テクノロジーの持つインパクトの大きさがよく分かります。

本書を読んで印象的なのは、新たなテクノロジーが誰か1人の大天才によって突発的に見つけられるということはほとんどなく、多くの人による試行錯誤の歴史で徐々に進化していくということが分かります。印象的なのはエジソンによる電球の発見の記述で、彼が現代の起業家にも通じるセルフプロデュースに優れていたため、後世の人は電球をエジソンの功績と認知していますが、それは間違いではないものの、他にも多くの人が発明に貢献していたことが分かります。

ともすれば、テクノロジーの発展というと人工知能など目新しいIT関連のトピックばかりに目が行きがちですが、人類はその長い歴史の中で様々なテクノロジーを多大な苦難の上に創り出し、それによって周囲の人はもちろん、発明者も思いもしなかった形で社会への影響を与えてきたことが、本書を読むと分かります。テクノロジーが持つより本質的な価値に思いを馳せるようにしてくれる、テクノロジーへの愛が詰まった骨太の良書です。