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米国の株式市場はここ数年、FAMGA(フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト・グーグル・アップル)と呼ばれるメガテック企業5社が上位を占めていますが、この5社の中でもビジネスの成長ペースと今後のポテンシャルで最も高く評価されているのがアマゾンです。米国ではTo be Amazonedという言葉が、アマゾンの進出によってある業界が根こそぎ奪われるという意味でつかわれるほどの存在感を持っています。

セブンイレブンのCIOとしてオンラインチャネルの強化を推進する立場として、そのアマゾンと対峙する立場にあった著者が、アマゾンのビジネスモデルの凄みとそれに対峙する日本の小売企業の厳しさについて書いた本です。これまでもアマゾンについての書籍は色々と読んできましたが競合企業の立場からの視点は初めてで、アマゾンの業界構造を根こそぎ変えてしまう恐ろしさについて新鮮な切り口で理解できました。

著者のオンライン強化を含めたオムニチャンネルに関する取り組みは、父親で長くセブンイレブンの会長を務めた鈴木氏の退任により後退してしまい、決済が不要なAmazon Goの立ち上げやホールフーズの買収などで実店舗での取り組みを加速させるアマゾンに対して、国内では最強の小売りと言えるセブンイレブンについても厳しい戦いを強いられそうです。本書の特に後半はセブンイレブンの内部対立で、オムニチャンネルの取り組みが思うように進んでいないという記述が多いことはとても残念に感じました。

日本の小売全体がTo be Amazonedされるのを防ぐ手立てはあるのか、小売企業に残された時間は少ないと読後に強く感じました。