レベル3 ★★★★
驚異的な成功をおさめている投資家へのインタビューに基づいた大人気シリーズの第4作です。
私は、世界的なベストセラーとなった第1作「マーケットの魔術師」と本作のみ読んでいますが、本作の方が第1作より面白く感じました。第1作では、テクニカル手法を用いたトレーダーが中心だったのですが、本作では非常に多様な戦略をとる投資家が登場し、読者が自分に合った投資手法を考える上でより参考となることが要因としてあげられます。
世界最大のヘッジファンド「ブリッジ・ウォーター」を運営するレイモンド・ダリオや、資産約300億ドルの巨大ヘッジファンド「ブルークレスト・キャピタル・マネジメント」を運営するマイケル・プラットから、マーケット業界関係者以外はほとんど知らない無名の投資家まで、運用している金額が全く異なる15名が紹介されています。
本作が秀逸である最大の理由は、著者が投資に非常に造詣が深く、鋭い質問を繰り出すことで、普段はほとんど余人が知ることのできないヘッジファンド・マネージャーの投資戦略や投資についての考え方が、具体的に描かれていることです。
ヘッジファンドの投資戦略はオプションなどの金融派生商品を駆使するため、難解な用語が出てきますが、全ての用語は分からなくとも成功している投資家達の考え方を知るだけでも、個人投資家には参考となるでしょう。
本作を読んで感じることは、投資において自分の強みを活かした投資戦略をとることの大切さです。世界中のどんな投資家でも全ての戦略で成功を収めることはできません。自分の強みが活かせ、かつエッジの効いた戦略を見つけることが、投資家としての成功の第一歩であることが、本作で紹介されている全ての投資家のエピソードからよく分かります。
また、これまでほとんど紹介されていない最先端の投資手法について知ることは、金融の専門家にとっても非常に参考となります。初心者からプロ中のプロまで大きな学びがある、投資に関する年間でも数冊の良書です。