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投資銀行の債券セールス部門での経験をもとに書いた「ライアーズ・ポーカー」が世界的大ベストセラーになった著者による、野球を統計的に分析することの威力を書いたこの本は日本でも反響を呼びました。
選手の年俸額でいえば下から数えたほうが早いアスレチックスが、なぜプレーオフの常連なのか。その秘訣は、皆が重視する指標、打者でいえば打率や打点、投手で言えば勝利数、セーブ数などは、チームの勝利にあまり関係がないという発見にあります。より重要な指標、打者の出塁率や長打率、投手の被本塁打数や奪三振率などを駆使することで、安い年俸でも常勝球団を作ることができる。
これは、投資においても王道のやり方です。世間で注目を浴びている高い株価の企業には見向きもせず、収益率の高さと安定性に優れている安い株価の企業を丹念に探し出す。本書の主人公の、アスレチックスのGMビリー・ビーンは、野球界のウォーレン・バフェットといえるでしょう。
本書は投資とは直接関係ないテーマですが、他人が重視していないけれども実は重要な指標を丹念に調べ上げ、その評価を元に論理的に行動することが成功に結びつくというポイントは、投資でも完全に同じです。アクティブ運用に取り組む個人投資家はぜひ参考にしてください。