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マネー・ボール

★★★★

投資銀行の債券セールス部門での経験をもとに書いた「ライアーズ・ポーカー」が世界的大ベストセラーになった著者による、野球を統計的に分析することの威力を書いたこの本は日本でも反響を呼びました。

選手の年俸額でいえば下から数えたほうが早いアスレチックスが、なぜプレーオフの常連なのか。その秘訣は、皆が重視する指標、打者でいえば打率や打点、投手で言えば勝利数、セーブ数などは、チームの勝利にあまり関係がないという発見にあります。より重要な指標、打者の出塁率や長打率、投手の被本塁打数や奪三振率などを駆使することで、安い年俸でも常勝球団を作ることができる。

これは、投資においても王道のやり方です。世間で注目を浴びている高い株価の企業には見向きもせず、収益率の高さと安定性に優れている安い株価の企業を丹念に探し出す。本書の主人公の、アスレチックスのGMビリー・ビーンは、野球界のウォーレン・バフェットといえるでしょう。

本書は投資とは直接関係ないテーマですが、他人が重視していないけれども実は重要な指標を丹念に調べ上げ、その評価を元に論理的に行動することが成功に結びつくというポイントは、投資でも完全に同じです。アクティブ運用に取り組む個人投資家はぜひ参考にしてください。

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マーケットの魔術師 -米トップトレーダーが語る成功の秘訣

レベル3 ★★★★

合計16名へのインタビューで本書は構成されていますが、マイケル・スタインハートとジム・ロジャーズの2名を除いて、ファンダメンタルよりもテクニカルを重んじているトレーダーです。世の中の投資手法は大きく、金融商品の本質的な価値 (ファンダメンタル)を重視するファンダメンタルと呼ばれる手法と、価格推移や出来高といったテクニカル指標を重んじるテクニカルの2つの手法に分けられます。

テクニカルが人をひきつける一番のポイントは、爆発的に資産を増やすことが可能な点ではないでしょうか。本書の登場人物であるマイケル・マーカスは10年で約3万ドルを約8,000万ドルに増やしていますし、日本の代表的なテクニカルトレーダーであるBNF氏は8年余りで約2万ドルを2.5億ドルまで増やしたようです。

もちろん、こうした爆発的な成功をおさめるトレーダーの陰には、膨大な数の失敗事例があります。そして、投資、とくにテクニカル手法で成功するにはセンスも非常に大切になってきます。お金を儲けたいという気持ちと努力だけでは到底成功にはいたらず、失敗してもめげずにマーケットと向き合い、自分に合っていてかつ勝てる手法を見つけ、その商法に忠実な運用を徹底できるかは、持って生まれた資質によるところも大きいようです。本書を読めば、こうした運用の世界の厳しさがよく分かります。

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ヘッジホッグ -アブない金融錬金術師たち

レベル3 ★★★★

題名が秀逸でヘッジファンドのヘッジ(Hedge)に貪欲な意味がある豚(Hog)を合わせて、著者自らも在籍しているヘッジファンド業界をけなしつつ、変わり者の意味があるハリネスミ(Hedgehog)というフレーズで業界に溢れている変人達をちくりと風刺するという、凝ったネーミングです。

著者はモルガン・スタンレーにおいて30年間ストラテジストを務めた実績から、金融業界において非常に顔の広い人物です。本書にも、世界最大級のヘッジファンド、タイガー・マネジメントの創業者ジュリアン・ロバートソンや、世界的ベストセラー「ブラックスワン」の著者ナシーム・タレブといった大立者から、プライドだけ一人前であえなく失敗してしまうMBA上がりの若者まで多彩です。

著者は、70歳まで投資銀行で働き、余生を暮らしていく上で十二分な資産を築いたにもかかわらず、銀行を辞めた後に自らヘッジファンドを設立した底なしの投資愛好家です。皮肉なタッチの文章の裏から、自分自身がこよなく愛する金融業界のことをわかってもらいたいという思いが伝わってきます。私もこれ位の年まで、嬉々として市場と向かい合ってプレッシャーをエネルギーに変えるような人物でありたいなと思いました。

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