大いなる不安定

レベル3 ★★★

金融危機を予測していたことで、世界的に名をあげたヌリエル・ルービニ教授の著作です。後付けで危機が起きることは分かっていたと言っている「自称危機の予想家」と違い、質の悪いCDSなど複雑なデリバティブ商品と、金融機関の高レバレッジ化により、世界的な金融機関が何社か破たんに追い込まれると、2005年の段階から的確に予測していたルービニ教授の深い議論が堪能できます。

前半は、2007~08年に掛けての金融危機の展開と、政府・中央銀行の対応が時系列でよくまとまっています。前回の金融危機を、漠然とサブプライムローンが原因とか、リーマン・ブラザーズを破たんさせたことが悪かったと理解している人は、危機の本質を理解する目的でも本書を読んでみてください。

後半では、金融危機を今後も頻発させないための様々な提言がなされています。IMF・世界銀行への新興国の発言権の拡大、金融機関の報酬制度の改定、金融機関の自己資本規制、大きすぎる金融機関の解体、監督機関の集約など提言は多岐にわたります。そして、こうした様々な改善提案が、グローバル金融時代において危機の再発を防ぐには不可欠であることを、経済・金融知識の少ない人にも理解できるように分かりやすく解説されています。

こうした書籍を読むと、いつも感じるのは米国の経済論客の質の高さと、人材の厚みです。前回の金融危機への理解もなく、感情的にグローバル金融を批判したり、社会を発展させる気概もなく危機を冷笑的に傍観したりしている人材ばかりの、日本の経済専門家・メディアを見た時、暗澹たる気持ちになります。

構造が複雑化し、放っておくと危機を頻発しかねないグローバル金融システムを、それでもルールを改善することで、人々を豊かにする上で最大限に活用しようとし、真剣な議論を展開するルービニ教授をはじめとした、米国の経済・金融エリートたちの姿は賞賛に値します。

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