ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

★★★★

日本でも騒がれているので読んだ方も多いかもしれませんが、米国のスタートアップシーンの頂点に君臨しているペイパルマフィアのドン、ピーター・シール氏による起業論です。ただ、一般的なビジネス書とは異なり、起業や事業に関するノウハウを解説しているのではなく、シール氏の思想体系が幅広く展開されています。

ペイパルマフィアとは、フェイスブックに初期投資をして大富豪となったシール氏をはじめ、テスラ・モーター/Space Xの創業者イーロン・マスク氏、LinkedInの創業者リード・ホフマン氏、さらにはYou TubeやYelpの創業者など、米国の著名なスタートアップの立ち上げにことごとくオンライン決済会社ペイパルの創業メンバーが絡んでいることから名づけられた名称です。

このペイパルマフィアの中において、シール氏は多くのマフィアたちを相互に結びつけている最も重要な人物として知られています。スタンフォード大学で学びロースクールを出て、一流法律事務所に入社寸前まで行っていたシール氏がなぜ起業の世界に身を投じ、巨大な成功をおさめたのか、本書からその背景が浮かび上がってきます。

本書で展開されているシール氏の持論はほぼ全て世の中の常識と逆行しています。「独占は善だ」、「投資において分散は悪だ」、「リーンな起業は止めたほうがいい」、「キャリアアップの選択肢が多くとも意味がない」、「IT企業においても営業は技術者と同じくらい大切」などが主張の例ですが、ビジネススクールで教えられている、もしくは多くのベンチャー起業家が信じているのと真逆の内容です。しかし、シール氏自身が本書で展開されている思考にしたがって揺るぎのない成功実績をあげていることから、反論できません。

また、グーグルやフェイスブックなどうまく独占状態を作っている会社は自社の競合が多いことをアピールし、独占できていない会社は声高に独占状態を築いていることを叫ぶといった指摘も、直近のグーグル会長エリック・シュミット氏の「アマゾンが手ごわい強豪である」という発言などを見てもその通りでクスリと笑えますし、他にもこうした鋭い指摘が多々あるので、今後の経済記事を読む中で本書の内容を思い出すと示唆に富むでしょう。

もちろん、シール氏の主張は巨大な成功を目指す時に必要な発想で、広く一般的にあてはまるものではありません。しかし、タイトルにもあるように社会全体の成長には、0から1の非連続な飛躍が不可欠で、それを生みたいと願う人にはこれ以上参考になる書籍はないでしょう。最後に、本書を私は英語で読みましたが、シール氏のスマートさと歯切れの良さが存分に味わえるので、英語が苦手でない人はぜひ原書で読むことをオススメします。

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