シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」

★★★

2012年の米国大統領選挙で、50州すべての選挙結果を事前に予測していたことで名をはせたネイト・シルバー氏による統計を用いた予測に関する書籍です。

日本でもビッグデータという言葉が良く聞かれるようになり、ビッグデータを用いた予測の申し子のように言われる著者ですから、いかにビッグデータが強力なツールであるのかについて展開されていると読む前は期待していましたが、意外や予測の難しさについて中心に説明されていました。

確かにデータは豊富に手に入るようになっていますが、そこから本書のタイトルにもあるようにノイズを除いて、意味ある仮説を立て検証し精度を高めていく作業がいかに困難であるか、著者の本業であるスポーツや政治の事例だけでなく、自然科学や金融市場の例も含めて解説されています。

完全な大統領選挙の予測を可能としたビッグデータを元にした予測のノウハウを期待して読んだ人にとっては肩透かしかもしれませんが、様々な分野で予測を行う統計分析の最前線に居る著者だからこその良心の表れとして、ビッグデータが万能ではないことをテーマとしたのでしょう。著者の名をはせるきっかけとなった2012年の大統領選挙についても運の要素があったと正直に認めています。

そもそもビッグデータがあればどんな予測も精度が高まり、巨大なビジネスチャンスがあるという今の日本でよく聞かれる言説こそが、過度な単純化を求めて高い質の予測を阻害する人間の特性を示しているでしょう。

著者の該博な知識に裏付けられた様々な業界での予測について解説されていますが、分野が多岐にわたっておりところどころにベイズ理論などの話も出てくるので、ストーリーは明快とはいえません。そのことが、読了することを難しくしているかもしれません。けれども、不確実な世界で限られたデータを元に予測することが不可欠で、失敗を繰り返しながらも精度を高めていく地道な作業が求められる投資家にとって本書は示唆に富んでいます。物事を予測するという行為の本質を知りたい方はぜひ読んでみてください。

S&S investmentsのSNS フォローお願いします
HP:  https://ssinvestments.co.jp
FB :   https://www.facebook.com/ssinvest25
Twitter :   https://twitter.com/ssinvest25
note:   https://note.com/ssinvest
投資Blog :   https://ssinvest.jp/