イスラーム国の衝撃 (文春新書)

★★★

イスラム研究の一線で活躍する研究者である著者が、日本人人質事件により日本でも大きな関心を集めるようになったイスラーム国の誕生と現状、今後の展開について分かりやすくまとめています。

著者の講演は東大時代に何度か聞く機会がありましたが、日本人のイスラム研究者にありがちな過度な理想のイスラム教への投影がなく、極めて中立的で学問的な見地から、わかりやすく解説をしてもらえ、とても学びが多かったことを覚えています。

本書も、イスラーム国がどのような国際情勢から生まれ、現状どのような影響力を持っており、さらに中東における歴史的な文脈から今後どのような派生が予想されるのかまで、一般的読者にも分かりやすく、かつ中立的に書かれています。

本書のタイトルは扇情的ですが、日本人人質事件が公になる以前に本書は発表されています。本書の内容も、著者がここ10年発表してきた論文が下地となっており、今後イスラーム国をタイトルとした本が次々と出版されるでしょうが、そうした注目されてから書かれた浅薄な本とは、完全に一線を画す内容といえるでしょう。

本書でも著者が度々懸念を示している通り、日本でのイスラム研究の専門家ネットワークは欧米に比べて極めて貧弱です。そのことを示すかのように、イスラーム国による日本人の拘束とその殺害後に、日本のメディアでは専門家がこぞって今回の事件を強引に日本の政権や社会批判の道具として論考するシーンを多々目にします。

著者のブログやフェイスブックでは、そうした安直な言説に痛烈な批判が繰り返されているので、本書を読んでさらにイスラーム国とそれを取り巻く中東情勢についての理解を深めたい方は、参考にされることをオススメします。

S&S investmentsのSNS フォローお願いします
HP:  https://ssinvestments.co.jp
FB :   https://www.facebook.com/ssinvest25
Twitter :   https://twitter.com/ssinvest25
note:   https://note.com/ssinvest
投資Blog :   https://ssinvest.jp/